腰痛治療最前線―TMSジャパン公式サイト-図書室



怒りが痛みをつくりだす

Fili別冊保存版
『HOLISTIC health』
体と心と魂の健康




読むだけで腰痛がなくなる!? ―――TMS理論とは


長谷川淳史氏インタビュー


最近全米で話題となったサーノ博士のTMS理論によると、なんと腰痛・肩こりの原因は、
実は「怒り」にあるといいます。詳しいお話を『腰痛は〈怒り〉である』の著者、長谷川氏に伺いました。


■ 腰痛は従来の医学では治せない

◎ 最近、腰痛が増えているというのは本当でしょうか?


【長谷川】ええ、本当です。厚生省の調査によると、日本人がもっとも多く訴える症状の第一位は「腰痛」、第二位 は「肩こり」、第三位は「関節痛」となっています。こうした筋骨格系疾患は三〇年前の三倍に膨れあがり、特に腰痛はこの数年間で二〇パーセントも増え、実に人口増加率の一七倍の勢いで増え続けています。現代医学は目覚ましい発展を遂げてきましたし、今では数えきれないほどの代替医療もあります。それにもかかわらず、腰痛は減るどころか逆に増え続けているのが現状です。

◎ なぜ増えているのですか?

【長谷川】腰痛の本当の原因が解明されていないことに加え、誤った情報が広く浸透してしまったせいだろうと思います。

レントゲン撮影をはじめ、CTスキャン(コンピュータ断層撮影法)やMRI(核磁気共鳴画像診断法)といった驚異的な診断技術が開発されていますが、腰痛の八五パーセント以上は、症状と理学所見や画像所見が一致しないため、はっきりとした診断を下すことができないのです。原因がわからなければ、腰痛を撲滅するのは不可能です。ただし、すべての治療法に効果がないという意味ではなく、治療によって治ったのか、それとも自然に治ったのかが、まだ科学的に証明できていないということです。

◎でも、腰痛の原因にはいろいろあるといわれていますが?

【長谷川】それが誤った情報のひとつなのです。実に多くの原因論があり、星の数ほどの治療法が現れては消えていくのは、真の原因がわかっていない証拠だとは思いませんか? あらゆる統計が示しているように、今ある治療法で腰痛問題が解決しないのは紛れもない事実です。したがって、「従来の医学は腰痛に対して無力である」といわざるを得ません。となれば、これまでの視点とは大きく異なる新たなアプローチが必要になります。それがニューヨーク大学医学部教授、ジョン・E・サーノ博士が開発した「TMS理論」なのです。


■ TMS理論とは 

◎ TMS理論とはどんなものですか?

【長谷川】従来の誤った情報を正しいものに置き換え、新たな認識を獲得することで腰痛を治療しようという、まったく新機軸の治療プログラムです。まさに「腰痛治療のコペルニクス的転回」、「腰痛治療革命」ともいっても過言ではないと思います。

TMSとは、「Tension Myositis Syndrome」の略で、訳せば「緊張性筋炎症候群」ということになりますが、「筋炎」といっても筋肉に「炎症」があるという意味ではなく、筋肉内に何らかの変化が生じているという意味でしかありません。サーノ博士はTMSの定義を、「痛みを伴う筋肉の生理的変化」としています。

このTMS理論の特徴のひとつとして、これまでは単独の病気によって生じると考えられていた筋骨格系のさまざまな症状を、症候群としてひとまとめにしたという点があげられます。たとえば、肩こりと呼ばれる症状をはじめ、腰痛、腕や脚の神経痛、あらゆる部位の関節痛など、すべては共通原因によるひとつの症候群だと考えるのです。

要するにTMSは、「筋肉」「神経」「腱・靭帯」という三つの組織に生じる症候群だ、ということです。


◎ 特にTMSが起きやすい場所はあるのですか?

【長谷川】はい、いわゆる「姿勢筋」と呼ばれる筋肉に現れやすい傾向があります。姿勢筋とは、首の後ろ側、肩の上部、背中や腰、そして臀部の筋肉を含み、姿勢を保つとともに腕の運動を助けている筋肉です(図参照)。

こうしたことは、サーノ博士の長い臨床経験の中から導かれた結論で、博士はこれらの症状をTMS治療プログラムによって九五パーセント前後の確率で改善させています。しかも、身体には指一本触れることなく治療できるというのも、従来の治療法と大きく異なる点でしょう。


◎身体に触れないのですか?

【長谷川】ええ、ボディワークを併用してもかまいませんが、身体に治療を加えなくてもTMS治療プログラムで腰痛は治せます。



■ TMS理論発見の経緯

◎サーノ博士はどういうところからこの理論を発見したのですか?

【長谷川】サーノ博士は現在、ニューヨーク大学医学部臨床リハビリテーション医学の教授ですが、実はもともと小児科医でした。それが、リハビリテーション医学に取り組むようになってから、いくつかの素朴な疑問に悩まされるようになりました。

まず第一に、なぜ検査所見と臨床症状が一致しないのか、という疑問です。たとえば、腰痛は主に腰椎や椎間板の老化によって起こるとされていますが、患者が訴えている症状は、画像診断で発見される病変とはまったく関係のない部位に現れていたのです。

しかも病変の異常の程度と、痛みの強さが一致していないのですから、一層わけがわかりません。ほんのわずかな変形でも動けないほどの激痛に苦しむ患者がいる一方で、みるも無残な変形がありながら軽い症状ですんでいる患者もいました。

他にも不良姿勢、運動不足、外傷、骨の先天異常などが腰痛の原因だといわれていましたが、いくら医学文献を調べてみても、こうした要因がどうして痛みに結びつくのかは明らかになっていませんでした。

そして何よりも不思議なのは、検査でみつかった病変に変化がないのに、治ってしまう患者がいることです。どこかおかしいと思いませんか?

◎ そういわれてみると不思議な話ですね。

【長谷川】第二に、なぜ治療効果が一定していないのか、という疑問もありました。その当時行なわれていた治療法は、注射療法、超音波、マッサージ、運動療法が中心だったようですが、重症にみえる患者が驚くほど早く治ってしまったり、軽症にみえる患者がいつまでたっても治らなかったりと、まったく予後の見当がつきませんでした。

◎それでサーノ博士はどうしたのですか?

【長谷川】患者を詳しく診察しているうちに、彼らの痛みは骨や軟骨から生じているのではなく、筋肉に生じていることに気づきました。これが「緊張性筋炎症候群」に「筋炎」という言葉を使った理由です。

やがて博士は興味深い事実を発見することになります。患者の病歴を調べ直しているとき、筋骨格系疾患に苦しむ患者の約九割が、「心身症」と呼ばれる病態を経験していることに気づきました。

そこで博士は、もしかすると患者が訴えている筋骨格系の痛みの原因も、心の緊張にあるのではないかと考えました。緊張性筋炎症候群の「緊張」は、この心の緊張からとって名づけられたのです。

サーノ博士が心身症を疑うようになってからは、次々と新しい発見をするようになりました。まず、何気なく心理的要因を探りながら診察を続けていると、早く治る患者となかなか治らない患者を、ほぼ正確に予測できるようになったのです。

それだけではありません。痛みの原因が心にあることを認めた患者は、それを否定した患者に比べると、より早く改善していることにも気づいたのです。この発見によって博士は、筋骨格系疾患に対するもっとも重要な治療的要素は、自分の身体に起きていることを、本人が正確に理解することだと確信するようになりました。そしてそれを患者に理解させるための情報は、筋骨格系疾患の『特効薬』になり得るという結論にいたったのです。これがTMS理論のはじまりです。



■ TMSの原因

◎ところでTMSの原因は何ですか?

【長谷川】直接的な原因は、血管収縮による組織の虚血状態です。つまり、自律神経系を介して血管が収縮し、患部の血液循環が悪くなって、軽い酸素欠乏が起きているということです。この血管収縮が生じることで、患部では、(1)化学的老廃物の蓄積、(2)筋肉痙攣、(3)神経障害が起きているのです。

◎どうして自律神経系が血管を収縮させるのですか?

【長谷川】TMS理論によれば、筋骨格系の痛みや心身症は、ある種の防衛機制だと考えられます。防衛機制とは、心の安定を保ち、精神的破局を避けるための心の安全装置と言い換えることができます。そのひとつに「抑圧」というものがあります。ある感情がしっかり抑圧されていれば問題は起こりませんが、その感情の量が限界を越えた場合、抑圧だけでは心の安定が保てなくなります。そこで新たな防衛機制が必要となり、自律神経系を介してTMSや心身症が発症するというわけです。痛みを作ることによって不快な感情から注意をそらすには、自律神経系の支配下にある血管を収縮さるのが一番手っ取り早いのです。

意識の目を不快な感情以外に向けさせるには、痛み以上にふさわしいものはありません。身体に痛みがあると不安や恐怖が意識の大部分を占め、本人の注意を完璧に身体に引きつけておくことができます。これがTMSで起きていることです。


◎その不快な感情というのは?

【長谷川】TMSの根本原因となっているある感情とは、実は「怒り」なのです。わたしたちは自分自身を見失ってしまったり、パニック状態になるのを避けるために、怒りを極端に毛嫌いする傾向があります。とにかく忘れよう、考えないようにしよう、無視しようなどと、怒りを意識から締め出してしまいます。さらに悪いことには、自分がそうしたことすら忘れてしまうのです。

◎不快な感情は他にもあると思いますが、どうして怒りが根本原因だといえるのですか?

【長谷川】たしかに、エゴをおびやかすほど強い感情であれば、どんなものでも抑圧される可能性はあります。しかし、いずれも怒りほど社会的に敵視されていないので、あまり抑圧の対象とはならならないのです。



■ タイプT性格

◎ どんな人がTMSになりやすいのですか?

【長谷川】TMSは誰にでも起こり得ますが、発症しやすい性格特性がないわけでもありません。原因となる抑圧された怒りを大別すると、(1)日常生活におけるプレッシャーによる怒り、(2)幼少時に受けた心的外傷による怒り、(3)欲求を満たすために自ら課したプレッシャーによる怒りの三種類があります。

この中でTMSを起こしやすい性格と関係しているのは、(3)の自らを駆り立てる強い欲求です。それは主に「完全主義」と「善良主義」といわれるもので、TMS患者は、これらの欲求を満たそうと自らにプレッシャーを課しています。ですが、その欲求が強ければ強いほど十分に満たされることはなく、挫折感から怒りが生まれます。サーノ博士のもとで研究を続けていたデイヴィッド・シェクター医師は、こうした性格特性を「タイプT」と呼んでいます。この「タイプT性格」が内的葛藤を引き起こし、気づかないうちに激しい怒りを生み出しているようです。

怒りは蓄積されていくうちにやがて臨界点に達し、抑圧しているだけでは怒りの存在を隠し通すことができなくなります。そこでTMSの登場となります。強烈な痛みを引き起こすことで、強引に意識の焦点を怒りからそむけさせるのです。ですから、抑圧されている怒りが強いほどTMSは重症になるわけで、怒りの量と痛みの強さはぴったりと一致しています。


■ TMS治療プログラム

◎サーノ博士の治療プログラムとはどのようなものですか?

【長谷川】具体的には、「講義討論会」「グループ・ミーティング」「身体への治療をやめる」「毎日の注意」「痛みを叱る」「活動を再開する」「ストレス・リストの作成」「瞑想と熟考」「読書療法」「心理療法」で構成されています。

◎ なんだかいろいろあって、難しそうですね?

【長谷川】いえいえ、とんでもありません。一見そのように思えますが、治療プログラムそのものはきわめて単純です。要するに、誤った情報という「呪い」を解くことと、防衛機制を解除することの二つができればいいのです。

◎ その「呪い」というのは?

【長谷川】医学界だけでなくあらゆるマスメディアは、患者に否定的な信念を植えつけています。腰痛の原因は老化現象にある、椎間板の異常にある、過激な運動もしくは運動不足にある、重い物を持つからだ、姿勢が悪いからだ、怪我の後遺症だ、ハイヒールを履くからだ等々。そのおかげで患者は、科学的には何の根拠もなく、立証もされていないこうした多くの誤った情報を頑なに信じ込んでいます。

わたしはこうした誤まった情報を「呪い」と呼んでいるのですが、これらは立派な「ノーシーボ」(プラシーボの逆の反応)として作用していて、条件づけの条件刺激ともなっています。TMS治療プログラムは、まずこの「呪い」を解くことからはじまります。

これができなければ心に目を向けることは不可能ですから、次のステップに進むことができません。この作業はもっとも重要でありながら、もっとも難しいものですが、もしこの「呪い」を解くことに成功すれば、TMSは半分以上解決したも同然です。

◎では防衛機制の解除とは?

【長谷川】TMSが心から身体へ注意を向けさせるひとつの防衛機制であることは、先ほどお話したとおりです。そしてそれを解除するには、身体から心へ注意を向け、表面的な怒りではなく、抑圧された怒りの存在に気づかなければなりません。そのために、上記のTMSプログラムがあるのです。

まず、「講義討論会」では、TMSとは何か、その原因は何か、どうすれば解決するのか、などについて四時間の講義を二回に分けて行ないます。博士はこの講義討論会によって、症状の程度や罹病期間の長さにかかわらず、八〇~八五パーセントの患者の症状を数週のうちにほぼ消失させているようです。

「グループ・ミーティング」は、講義討論会に出席して四~六週間経っても激しい痛みが続いている患者、一度改善したのちに再発した患者が対象となります。そこではTMS理論を復習したり、痛みの原因となる無意識下の怒りを探し出したり、再発した理由を明らかにしたりします。

◎ 「身体への治療をやめる」というのは?

【長谷川】文字どおり、身体に対する治療は一切行なわないということです。TMSの目的は、心の中にある怒りから目をそらし、身体に注意を引き付けることにありますから、身体を治療してしまうと、患者の注意を再び身体へ向けてしまうかもしれません。しかし、患部には現実に酸素欠乏という病態が存在しているので、正しい情報を与えるという認識療法だけで自律神経機能の回復を待つよりも、もっと積極的に血流を改善させる手段を講じても害はないとわたしは考えています。ただし、逸脱しがちな患者の考え方を軌道修正しながら、という条件つきです。

講義討論会が終わると、患者には「毎日の注意」と呼ばれる一二項目のリストが手渡されます。そして少なくとも一日一回、一五分ほどをかけてTMS理論を復習するように指示されます。これは、確信に満ちた肯定的な言葉を口にしたり、書き出すことによって、感情・行動・固定観念を変化させようとする、アファーメイションのひとつです。固定化している誤まった信念体系を変えるには、まさにうってつけの方法といえます。

◎「痛みを叱る」とは?

【長谷川】ばかばかしく聞こえるかもしれませんが、自分で自分の痛みを叱りつけるというのも効果的なようです。TMSは無意識が仕掛けてきた単なるトリックに過ぎず、わたしたちはそのトリックを打ち破るために闘っています。多くの患者は自分を無力な犠牲者だと考えがちですが、もっと強気に出て闘いの主導権を握るのです。痛みを軽蔑し、叱り飛ばすのです。

「活動を再開する」というのは、条件づけを消去することです。数十年にもわたって腰痛に苦しんできた患者は、実に多くの動作ができないといいます。サーノ博士はこうした患者を"動作恐怖症"と名づけていますが、これはある動作によって痛みが生じるという、条件づけができあがっているからです。TMS患者は、勇気を出して条件づけを消去しなければなりません。でなければ症状はいつまでも続きますし、もし治ったとしても再発を恐れてビクビクしながら暮らすことになります。勇敢な戦士となって恐怖に立ち向かい、ごく普通に身体を動かす努力をすべきです。この条件づけが消去できなければ、TMSとの闘いに勝ったとはいえないのです。

「ストレス・リストの作成」は、怒りの根源となり得るストレスのリストを作成することです。生まれてから現在にいたるまでのトラウマ、ストレス、プレッシャー、結婚や出産といった幸福な出来事も含めて書き出します。こうしたことを書き出すだけでも、身体から注意をそらして心をみつめているので、効果的なTMS治療プログラムになるというわけです。

抑圧された怒りを探し出すためには、ストレス・リストを作るのが一番理想的ですが、その時間的余裕のない場合は、せめて一日を振り返り、ストレスになったことはないか、腹を立てたことはないかなどを、じっくり考える時間を設けてもらいます。これが「熟考」です。また「瞑想」には、防衛機制を解除したり、条件づけを消去したりする働きがあるといわれています。無意識下に抑圧された怒りを見つけだし、活動制限を克服するにはふさわしい方法といえるでしょう。

TMS治療プログラムが情報を伝える認識療法であるからには、TMSに関する本を読むことも有効な治療手段になります。それが「読書療法」です。サーノ博士の患者は、本を読んでから受診する人、治療プログラムの最中に本を読みはじめる人、本を読まなくても改善する人がいるようです。ただ、読書療法だけで改善した人々は一様に、三回は読み返すように勧めています。一回読むだけでよくなる読者も中にはいますが、再読を繰り返すたびに理解が深まり、着実に痛みが減少してくるようです。

講義討論会やグループ・ミーティングに参加し、これまで紹介してきたようなテクニックを使っても、まだ痛みに何の変化もなくそのまま続いているとすれば、心の中のもっと深い部分を調べる必要があります。もしかするとそこには激しい怒りだけでなく、強烈な依存心・性欲に関する葛藤・自己同一性の問題・無力感・屈辱感・羞恥心などが隠されているかもしれません。この場合は「心理療法」の助けが必要になりますが、それを必要とするのは、全TMS患者の五パーセントほどでしかありません。残りの九五パーセントは、TMS理論を学習することによって改善します。

◎ TMS治療プログラムに危険はないのですか?

【長谷川】もちろんあります。筋骨格系の痛みだからといって、何もかもTMSと考えてはいけません。まず医師の診察を受けて、危険な器質的疾患がないかを徹底的に調べ尽くすことが重要です。中でも悪性腫瘍、脊髄感染症、骨折他の疾患を、TMSと思い込んで適切な処置を怠ると取り返しのつかないことになってしまいます。こうした不幸な事態を避けるためには、必ず医師の診察を受けなければなりません。この点は十二分に注意していただきたいと思います。

◎ところで、講義討論会やグループ・ミーティングなどは、日本でも行なわれているのでしょうか?

【長谷川】残念ながらまだ行なわれていません。TMS理論の存在が知られていないせいもありますが、日本の医療システムの中に取り入れるには克服すべき問題が数多くあるからです。しかしTMS治療プログラムは、講義討論会やグループ・ミーティングがなくてもできます。特にこうした方法こだわらなくても、目標を達成できるならばどんな技法を使ってもかまいません。TMS治療プログラムは進化を続けていますので、多くのバリエーションがあっていいと思います。

ベストセラーとなったサーノ博士の著書『Healing Back Pain』を読んだだけで数十万人の患者が改善しています。また、アメリカの人気テレビ番組である「ラリーキング・ライブ」(CNN)などでTMS理論がテーマの番組が放映されました。これを見て、どんな治療を受けても治らなかった慢性の痛みが治ったという人々が現れています。

もちろん、日本でも同じ現象が起きています。最近では、わたしたちのウェブ・サイトにアクセスし、その内容を熟読することで改善する人まで出てきています。

◎とても信じられませんね。

【長谷川】信じる必要はありません。疑いを持ったままでも、治療プログラムを忠実に実行しさえすれば、効果はおのずと現れてきます。失うものは何ひとつないのですから、どんな治療を受けても治らなかった方には、ぜひ試してみることをお勧めしたいです。TMS理論をしっかり理解し、受け入れることさえできれば、約九五パーセントの確率で痛みから解放されるのです。この確率に賭けてみる価値は十分にあると思いますよ。


サーノ博士への手紙

先生にお電話したのは、七年間ひどい背腰痛に苦しんだ挙げ句のことでした。

かかりつけの医師に診てもらうと、最初に、できるだけおとなしくして、痛みを感じるようなことをしないようにとの指示がありました。その後七年あまりの間にわたしは、「背腰痛の原因と治療法」の「専門家」になりましたが、何の役にも立ちませんでした。

最初は心理療法は受けず、先生の治療プログラムだけでやることにしました。わたしの 場合、何かひとつ大きな根本的問題があって緊張が生じているということではなく、日常生活のささいなことが原因で、恐怖を抱いたり緊張が生じたりしているのだとわかりましたし、痛みが緊張を生み、それがさらに強い痛みを生むという悪循環を繰り返しているということに気づいたからです。未解決の心の葛藤が原因だとしても、その問題を 解決しなければ痛みが消えないというわけではなく、その問題が痛みの原因であると自覚するだけでいいとわかったからでもあります。

背中の痛みがなくなると同時に、他の部位の痛みも消えてしまいました。七年間のブランクの末、とうとう仕事もできれば余暇も楽しむこともできるようになったのです。

                (『サーノ博士のヒーリング・バックペイン』より一部抜粋)



フィリ別冊保存版『HOLISTIC health』2001年1月1日号

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