腰痛治療最前線―TMSジャパン公式サイト-図書室



チャレンジ梶原放送局:噂の捜査隊水曜日「TMS理論特集」

このテキストはラジオ文化放送で2000年12月13日・20日と2週にわたって特別番組として放送されたものです。





(2000年12月13日放送分)

椎名:一説には1000万人ともいわれる腰痛に悩む人に今日は本当に朗報!  あっと驚くこんな噂を耳にしました。 「腰痛の原因は怒り!? 95%が治る魔法の治療法を徹底捜査!!」

梶原:腰が痛い、これの原因が怒りだって?!

椎名:そうなんです。今日はほんとに気合を入れて聞いていただきたいと思います。腰痛といえば本当になかなか治らないもので、良くなったと思ったらまたぶり返したり、「もう私は一生腰痛持ち・・・」ということでお悩みの方もいっぱい!

梶原:大変だよねー。日常生活が送れないもんね。

椎名:ですよね。しかしこれから私がリポートしますこの画期的な腰痛治療法、今ね、アメリカで大ブームなんですよ。CNNとかABCで特番が組まれて、5年、10年腰痛もちだった人が2週間で治っちゃったりしてるんです。

梶原:えーー?!

椎名:よーく理解してくれれば95%は治ると開発した先生はおっしゃっています。私がいえば80%ぐらいになっちゃうかもしれないんですが(笑)。じっくり聞いていただきたいと思います。

ところで、日本人が最も多く訴える病気の症状のベスト3は何だと思います?

梶原:じゃあ、腰痛だろうねぇ。

椎名:腰痛はとりあえず入っていますね。

梶原:膝も痛いね。

椎名:厚生省の調べでは、1位腰痛、2位肩こり、3位関節痛となっておりまして、いわゆる筋骨格系疾患というそうなんです。けれども30年前のおよそ3倍に膨れ上がっているんですねぇ。

梶原:整形外科がすごいもんねぇ。

椎名:しかもその中でも腰痛が人口増加率の17倍も増えてダントツなんですよ。

で、現代医療はこんなにハイテク化が進んでいるのに、なんで腰痛は人口増加率の17倍も増え続けているのかということが、おかしいですよね。

さぁ、この画期的な治療法を紹介した本『腰痛は〈怒り〉である』の著者で、ガラップ治療院院長の長谷川淳史さんに、なんでなのか伺ってみました。

長谷川:少し乱暴ないい方になってしまうかもしれませんけれども、火元の消火をしないで火災報知機だけを止めようとしている感じを受けますね。実にたくさんの原因論があったり、治療法にしても星の数ほどありますけど、それは真の原因がわかっていない証拠だと思うんですよ。もし原因がきっちりわかっていて、間違いない治療法があれば、原因論がたくさんあったり、治療法がたくさんある必要はないわけですから。

ですから、腰痛に間違いなく効果的な治療法というのは、今のところ存在しないということになると思うんです。

椎名:この長谷川先生は、スポーツをしていたという若い時から腰痛に悩まされ続けて、実際に治療をしながら試行錯誤の末に、今日ご紹介するこの治療法にあって目を開かれたということなんです。なかなか説得力のあるお話だったんですが。さぁ、この画期的な腰痛治療法、「TMS理論」というまったく新しい理論から発展したものなんです。

Tension Myositis Syndromeというんですが、この理論、ニューヨーク大学医学部臨床リハビリテーション医学の教授、ジョン・サーノ博士が提唱した理論なんですけれども、このサーノ博士、これまでの腰痛の治療がおかしいと疑問に思ったのがきっかけで生まれた理論なんです。

サーノ博士が、腰痛患者が訴えている症状はレントゲンとかCTスキャンとか撮りますよね、そこで画像診断で発見される個所があります。骨が変形してるとか。けれどもその発見される個所とまったく関係ないところに腰痛が現われていることを発見したんです。

たとえば、背骨の右側がものすごく変形しているのに、左側のぜんぜん関係ないところが痛いと患者さんがいう。またすっごく大きな骨の変形があるのにぜんぜん何ともない人もいるということです。

しかも注射療法とか、超音波、マッサージ、運動・・・様々な治療法が行われているんですが、重症と思われる患者が驚くほど早く治ってしまったり、軽症に見える患者さんがなかなかずーっと治らなかったりと、治療効果が一定しないこともずっと不思議だったというんです。

そこでこれまでの腰痛治療と理論、間違っているんじゃないかと詳しく患者さんを観察して見つけたのがTMS理論。腰痛の痛みが骨や軟骨から生じているんじゃなくて、筋肉に生じているんじゃないか、ということなんですね。

筋肉に痛みを伴う生理的変化が起こることから、「TMS(緊張性筋炎症候群)」と名付けました。で、さらに患者の病歴を調べていきますと、患者さんの9割が心身症などの心の緊張があることがわかったというんですね。つまり心の痛みが腰の痛みに関係しているんじゃないかと考えまして、心理的要因を探りながら診察を続けていくと、早く治る患者さんとなかなか治らない患者さんをほぼ正確に予測できるようになったというんですよ。

で、サーノ博士が作り上げたこのTMSの治療プログラムで、アメリカで既に数十万人の患者さんが腰痛を改善させたというんですね。これまで単独の病気だと思われていた筋骨格系の症状、たとえば肩こりとか腰痛、関節痛、神経痛、これ全てが共通の同じ原因による一つの症候群だと考えて治すのがこのTMS理論の特徴なんです。

このTMS、姿勢筋と呼ばれる筋肉に現われやすく、実際に首の後ろとか肩の上部、それから背中、腰の痛みはTMSが原因である可能性が高い、というんですね。従来の機械を使ったり超音波を使ったりする治療法ではなく、まったく体に指一本触れることなく治療ができるこのTMS理論、お金がかからない治療法ということですね。

さぁ、この腰の痛みは心にあるということなんですが、具体的にどういうものなのか、長谷川先生にお伺いしました。

長谷川:TMSの根本的な原因というのは、主に「怒り」ですね。これは表面的に自分で気づいている怒りではなくて、無意識の中に抑圧されている怒りがTMSを引き起こしているようです。

人間には、精神的な破局を避けるための心の安全装置があるんです。これを防衛機制といいますけれども、自分で否定的な感情として判断している感情から注意をそらすために痛みを作り出しているということになります。怒りのことを考えるよりも、痛みを感じたほうがまだ楽だということなのかもしれません。


梶原:フロイトの精神分析、そのままいっていますね。

椎名:ということでこのTMS理論、理屈はおわかりいただけたかと思います。実際にどうすれば治るのか知りたくなっていると思いますが、具体的な治療法は来週たっぷりとお伝えしますのでお楽しみに。


(2000年12月20日放送分)

椎名:さて先週は、腰痛の原因は「怒り‐心」にあるというアメリカで話題の腰痛治療、TMS理論をご紹介しました。

梶原:腰痛で悩んでいらっしゃる人なんて、そこら中にいらっしゃるでしょう?

椎名:さぁ、気になる今週は続き! 「腰痛の原因は怒り!」95%が治る治療法を大公開!!

ということで、今週は実際にどうすればよいのか、具体的にお教えしたいと思います。

梶原:腰痛人口1000万人っていわれている、そのうちの95%がこれで治るっていうのは……。

椎名:治します! 治しましょう!!

梶原:すごい話ですよ。

椎名:さて、その前にこのTMS理論、簡単におさらいしたいと思います。腰痛は怒りであって、心の痛みなんだということなんですが、心の病で悩むよりも体に痛みを作り出したほうが楽だということだったんですね。さぁ、このTMS理論を紹介した本、『腰痛は〈怒り〉である』の著者でガラップ治療院院長、長谷川淳史先生に腰痛治療のポイントを伺いました。

本場アメリカでは4時間の講義を2回行うということなんですが、日本ではまだそのような状況にはいってませんので、まずできることからコツコツとということで、(1)「体への治療をやめる」。

というのはですね、腰痛は心の中にある怒りから目をそらして、体に注意を引きつけるために痛みを起こしているというんですね。体を治療するとやはり患者さんの注意が再び体に向いてしまいます。

梶原:でも腰痛は骨が変形したりとか、そういうのもあるでしょ? そういうのは違うんだよね?

椎名:そういうのは目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったりする老化現象と同じだと。それが本当の原因ではないと。椎間板が変形したり、骨が変形したりするのは老化現象の一部であって、それが直接腰痛の原因ではないというお話なんですね。

梶原:要するに骨の問題ではなく、心の問題だというわけなんですね?

椎名:そうです。どんどんご紹介していきます。それから体を治療しないで「痛みを叱る」というんですね。それはどういうことなんでしょうか、長谷川先生、こうおっしゃっています。

長谷川:ちょっとおかしな方法なんですけど、痛みに対して軽蔑して叱りつけてやる、怒鳴りつけてやるということが、なぜかわからないんですけど効果があるようですね。

腰痛患者さんというのは常に犠牲者意識というのか、病気になった自分は弱者だというような立場になっていることが多いんですね。でもこれは自分で治せるんだということを再認識してもらいたいんですよ。それでその腰痛よりもっと自分の方が強いと、主導権は自分が握るというふうに考え方を変えてほしいんです。それが怒りを発散させることになるかもしれませんしね。痛みを敵視して、怒鳴りつけてやることですね。


椎名:さらにこんな大胆なこともおっしゃってますよ。腰に良くない、といわれることをあえてやる! 長年腰痛に苦しんできた方は、実にたくさんの動作を禁止されてますよね。重いものを持っちゃだめ! 柔らかいマットに寝ちゃだめ! 腰をそらせちゃだめ! というのを徐々にやってみるということなんですね。

梶原:大丈夫かいな?

椎名:これは、こうすれば痛みが絶対自分に起きてしまうという、固定観念が出来上がってしまっているので、勇気を出してこれを壊しましょうということです。 もちろん、これはTMS理論を理解してから徐々に行っていくということなんですが、これを少しずつ行うようになると、「あれ? なんだ、大丈夫じゃん。腰痛の原因は動作じゃなかったんじゃん」ということを解かってもらえるようになるということでした。

梶原:ほんとかね~?!

椎名:続いて「ストレスリストを作る」。これは生まれてから現在に至るまでの、たとえば自分のトラウマとかストレス、プレッシャー、それから結婚や出産といった幸せで幸福な出来事も含めて全部書き出してみるということなんですね。これを書き出すだけでも自分の体から注意をそらして、心に自分の心は今までどういう変遷をもってきたかが見つめられるということなんです。

時間がない場合はせめて1日を振り返って「今日はこんなことがストレスになってたな」ということ、「腹を立てたな」ということをじっくり考える時間を作ろう、ということでしたね。

これ、私すごくよくわかるんですよ。実は高校時代、自律神経失調症を早々とやりまして、そのときに自分がストレスに全然なってないと思っていたことがものすごいストレスになっていたんですね。それがわかったときにケロッと治っちゃったっていう経験があったので、これは何となくわかるような気がします。

そして「本を読んで理解を深める」。これもまたTMS理論を書いた本を読むということなんですが、何度も読んで理解が深まるうちに着実に痛みが減少していくと断言していらっしゃいました。まぁ、これは整形外科に行っていろんな治療をして効果がなかったという方は、治療代を考えれば本は安いので試してみる価値もあるんじゃないかなと思います。

梶原:うーん……。

椎名:梶原さん、うーんとおっしゃってますけれども。

梶原:話を聞くと、心理療法、いわゆるかつてヒステリー治療とか、神経症治療に精神分析を使ってたっていうのに似ているような気がするんだけどね。

椎名:で、信じないとだめなんですかって聞いたんですよ。そしたら全然信じなくていいと。

梶原:信じなくていい?!

椎名:そうなんですって。梶原さんみたいに疑いを持ったままでもこの治療プログラムを忠実に実行すれば、絶対効果があがりますから、と。もうだまされたと思って試してみてください、というような感じでいいということですよ。 実際にアメリカでは、80~85%の方が痛みから開放されている。特にね、完全主義とか善良主義の方、自ら「今日はこれをやろう、これができなかった」って思っている方がなりやすいんですって、TMSの腰痛に。

梶原:そりゃね、強迫観念があったり完璧主義者だったりする人は、神経症にもなりやすいですが……。

椎名:マジメな方とかね。とはいっても、全ての腰痛がTMSが原因とはいえないわけなんですよね。最後に長谷川先生が重要なポイントとしてこうおっしゃっています。

長谷川:この理論をしっかり理解して受け入れることさえできれば、95%ぐらいの確率で改善されますから、この確率に賭けてみる価値は十分にあると思います。TMS治療プログラムを使う場合に1番大事な注意点が1つあります。 これはまずお医者さんの診断を受けてほしいということです。腰痛や肩こりや関節痛、神経痛というのがすべてTMSとは限りませんので、中には危険な疾患も含まれているわけですね。命にかかわるような病気のサインであることもあります。ですからまず、そういう痛みを感じた場合には必ず医師の診断を受けてください。これがTMS治療プログラムの最大の使用上の注意です。

梶原:これはおっしゃるとおりですよね。物理的な欠陥とか障害がある場合が非常にあると思いますもんね。

椎名:これがない場合、それがわかったときにTMSプログラムを始めてくださいということです。 さて、もっと詳しく知りたいという方は、長谷川先生が監修したこの本、『腰痛は〈怒り〉である』を参考にしていただきたいと思います。

ラジオ文化放送2000年12月13日・20日放送

トップへ戻る.




Copyright © 2000-2011 by TMS JAPAN. All rights reserved.